2011年10月29日土曜日

スティーブ・ジョブズ超人伝説という特大号の雑誌を読んで

最近はスティーブ・ジョブズという名前が本に出ていると、本屋でつい取り上げて眺めてしまいます。
今日も、会社のビルの1階にある本屋さんの入り口にある話題本コーナーに、表紙にスティーブ・ジョブズ「超人伝説」とかかれた週刊ダイアモンドの今週の特大号と銘打った雑誌がありました。

パラぱらっと見て、スマートフォンの宣伝本のような本でしたが、少しジョブズのことが書かれていたので、とりあえず買いました。アップルは私が社会人になって数年経ってから出来た会社ですので、最初の製品から今に至るまで全て見聞きしてきましたが、ほとんど忘れていたので、会社の年表が見開きにあり、時代と製品の名前が載っていて、その頃のことが思い出されました。この年表になかったのですが、アップルからニュートンというPDAが出された頃、私はPalmというPDAを作っている会社に勤めておりました(Palm OSは日本ではソニーにライセンスされてCLIEという名のPDAがあったのを覚えているかもしれません)ので、その時代の技術とiPodやその他の技術が折り重なってiPhoneの下地になったのではないかと思います。つい、6年位前には電車の中でCLIEを使っている人を多く見かけました。私もCLIEはメモ帳代わりに使っていました。そのときの手書き文字認識の技術はiPhoneには生かされませんでしたが、日本製のスマートフォンには手書きという技術が生かされていて、日本人の適応の速さと応用の力はまだまだあると感じました。余談ながら、私はPalm部門のある3Comという会社の本社へ出張した際に、Palm VIIという無線ネットワークに接続してインターネット接続するという今のiPhoneのような製品を買いました(日本ではこの無線ネットワークサービスは提供されていないので、全く使えないのは分かっていますが、買ってしまいたいのがマニアックなところです)。かなり前からこのようなアイデアは実現されていました

Palm pilotの写真
Palm VIIの写真

Sony CLIEの写真
newtonの写真

このiPodからiPod Touchへの変革には大きく昔のニュートンというPDAでの失敗が生かされたのではないかと思います。私の知り合いにも熱烈なAppleファンがいて、Macを買い換えていたり、ニュートンを持っていたりしていましたが、マイナーな感じがありました。しかし、iPhoneの登場でAppleがメジャーとなって今は誇りに思っているのか、それともマイナーなAppleが好きだったのかは聞いていないので分かりません。その彼は、ジョブズがAppleから去った後で作った会社のNeXTというワークステーションは当時、高かったのに小遣いで買って会社に持ってきて使っていました。本体は黒い大きな四角の箱でディスプレイやプリンターも黒で統一された、デザイン性に優れた製品でした。ワークステーションではSun Microsystemsが大きなシェアを占めていましたが、別のセグメントで勝負しようとしていたようです。しかし、これもビジネス的には失敗でした。そのときの、社員向けのビデオがYouTubeにあることがAppBANKというサイトで紹介されていたので、ここでも紹介させて頂きます。



でも、ジョージルーカスのグラフィック製作会社を買って、そこのエンジニアが作り上げた「トイストーリー」が大ヒットして大金持ちに返り咲くなど、投資家としては周りの人たちを情熱的に働かせたところはすばらしいし、多分、色々なわがままを言ったでしょうが、それについてきたエンジニアの勝利だと言えると思います。

ジョブズがAppleへの復帰後の製品で鮮烈に記憶に残っているのが、iMacでした。ブラウン管ディスプレイの筐体の中にすべての機能を詰め込んで、横から見るとおにぎりを逆さにしたような斬新な形で、ジョブズらしいこだわりは、カラーバリエーションでした。暗めのブルー、薄めのオレンジ、シルバーなど、それぞれ個性的でした。これは、いままでのMacintochの四角を基調としたものとはことなり、角の取れたやわらかいデザインでした。同時期に出たデスクトップの筐体も同じようにプラスチックを用いた柔らかなイメージのものでした。

iMacの写真

しかし、私のようにAppleの誕生と同じ時代に育った人間にとっては、多くの失敗製品を見ていますし、少しの成功した製品を見ているので、スティーブ・ジョブズが神様だとは到底思えませんが、完璧な製品を作るという理念と芸術と科学を融合させた「リベラルアーツ」の体現は誰にも真似できないということには反論は致しません。

この本の中でソフトバンク社長の孫 正義さんは、ジョブズに対する見方として「すべてが本物に対するこだわりです。まさに芸術家です。その芸術に技術を融合させました現代のレオナルド・ダビンチのようですその作品は世界に広まり、多くの人のライフスタイルを変えました」と書かれておられました。

また、ジョブズがNeXT社を立ち上げた頃日本語版WIREDの編集長だった小林弘人さんは、ジョブズは、使い手にとっての操作性などを含めたデザインに、ものすごくこだわります。そして、アップルの製品は「どうあるべきか?」という哲学的なところまで踏み込んで考えていましたと書かれています。また、「ジョブズという人は、経営者という文脈で語るべきではないのかもしれません。もちろんすぐれた経営者であり、改革者であり、そしてイノベーターではありますが、私にはジョン・レノンやジミー・ヘンドリック、ブルース・リーなど時代を象徴した”ポップ・アイコン”のような存在だというほうがしっくりきます。とも書かれています。

・雑誌のご紹介